引きこもり支援に使える補助金とは?障害者雇用でないと補助金は使えない?

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全国に100万人以上いるといわれている引きこもりですが、支援活動を行う場合、福祉の枠組みにあてはまらない場合も多く、補助金等で資金面を強化したいと考える事業者の方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、引きこもり支援で使える補助金についてお伝えします。

引きこもりとは

引きこもりについては、明確な線引きがあるわけではありません。引きこもりは状態をさす言葉であり、病気ではないため診断等もありません。

そのため、ひきこもりは明確に線引きができるわけではないですが、厚生労働省より定義が発表されているため、そちらを紹介します。

様々な要因の結果として社会的参加(就学、就労、家庭外での交遊など)を回避し、原則的には6ヵ月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態を指す現象概念(他者と交わらない形での外出をしていてもよい)
「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」(平成22年5月)

ひきこもりとは、周囲との交流がない状態という見解については、どなたでもおおむね一致するところと思いますが、厚生労働省においては、6ヵ月以上という区切りを設けているのが特徴です。

ひきこもりの人数は?146万人!?

ひきこもりは、内閣府の調査によると、約146万人※いると言われています。最近では、ひきこもり状態の人が痛ましい事件を起こしてしまったり、また高齢化に伴い、8050問題といったワードも注目されるようになり、ひきこもりに焦点があたるようになりました。

※・・・こども・若者の意識と生活に関する調査 (令和4年度

ひきこもり支援に使える補助金とは

ひきこもり支援は、障害福祉事業などに該当せず、基本的に就労移行支援事業所などにみられるような福祉事業として行うことができません。そのため、各自治体の補助金やその他の補助金を活用する必要があります。ここでは、ひきこもり支援に活用できそうな補助金を紹介します。

東京都認証ソーシャルファーム

東京都認証ソーシャルファームは、東京都に限定した支援となってしまいますが、ソーシャルファームの認定を受け、引きこもりの方を雇用することで、補助をうけることができる制度です。

2021年に創設された制度で、「都民の就労の支援に係る施策の推進とソーシャルファームの創設の促進に関する条例」に基づき、基準に適合する事業所をソーシャルファームとして認証されることで、最長5年の間、最大で6000万円の補助金を受け取ることができます。

東京都内に事業所がある場合は、ぜひ利用を検討しましょう。

生活困窮者及びひきこもり支援に関する民間団体活動助成事業

生活困窮者及びひきこもり支援に関する民間団体活動助成事業は、新型コロナウイルス感染症の影響により、孤立・孤独に陥る危険性の高い生活困窮者やひきこもり状態にある者を対象にして、広域的に、電話・SNS相談、居場所づくり、生活上の支援、住まいの確保などの支援に関する活動を実施する民間団体の取組を支援することを目的としています。

法人格を有し、ひきこもり支援等の活動を1年以上実施しているなど、既定の条件を満たしている事業者に対して支給される補助金で、職員の人件費や、旅費交通費、消耗品費など、幅広い経費に利用することができます。

特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)

ひきこもりの方を雇用したい場合に使えるのが、特定求職者雇用開発助成金です。特定求職者雇用開発助成金は、厚生労働省が支給している助成金で、障害を持った方や母子家庭の方など特定な状況で就職が困難な方を雇用し、条件を満たした場合に支給されます。

ひきこもりの方の雇用に活用したい場合は、特定求職者雇用開発助成金の中でも、就職氷河期世代安定雇用実現コースがおすすめです。また、もし障害の診断を受けている場合は、発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース等も適用可能です。

自治体のひきこもり支援補助金

ひきこもり支援については、各自治体で独自の補助金を用意している場合もあります。ひきこもりの支援活動について、補助金を探している場合は、自治体のホームページを確認してみるといいでしょう。

世田谷区ひきこもり等居場所事業補助金

千葉市ひきこもりサポート事業(居場所運営)補助金

社会福祉協議会等の居場所支援事業

ひきこもり支援については、社会福祉協議会で居場所支援という形で補助金を支給している場合もあります。ひきこもり支援の居場所活動をしているという方は、社会福祉協議会の補助金をさがしてみてもいいかもしれません。

福祉活動助成事業(施設・団体・グループ助成)

サロン活動に対する助成

ひきこもり支援で補助金を受け取るポイント3選

ひきこもり支援の活動を行い補助金を受け取るには、ただ活動しているだけでは難しく補助金を活用できる姿勢をアピールする必要があります。ここでは、補助金を受け取るためのポイントを3つお伝えします。

継続した活動を行う

補助金の活動条件として求められるのが活動の継続性です。一過性のイベント等の場合は、なかなか補助金を受けることは難しくなっています。そのため、今後の継続性を示すこと、および一定期間活動を継続してきたという証明があると補助金を受け取りやすくなります。

法人格を取得する

補助金は、個人ですと給付されないという条件のものも少なくありません。そのため、補助金を受けて活動したいという場合は、できるだけ法人格を取得することをおすすめします。可能であればNPO法人として活動しておくと、補助金の幅も広がります。

こまめに情報を取得する

ひきこもり支援の補助金は、自治体単位だったり地域で支給されるものが多く、補助金の公募が開始されてもなかなか気が付かない可能性もあります。そのため、活動地域の自治体のホームページ等をこまめに確認し、情報を集めておくようにしましょう。

まとめ

今回は、ひきこもり支援に使える補助金について紹介しました。ひきこもりは、8050問題など全国的な問題と認知されてはいても、障害者手帳が交付されるなど、社会的にも明確な区分をしずらく、行政の支援の手もなかなか届かないのが現状です。そのため、補助金についても積極的に情報を取得し、活用していく必要があります。本記事が活動の助けになれば幸いです。

監修者

トキタ行政書士事務所代表 鴇田 光晴。成蹊大学卒業。重度重複の障害者入所施設、児童発達支援や放課後等デイサービスでの勤務を経て行政書士として開業。加算や開業支援等、現場での経験を活かした実践的なサポートを提供しています。

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