福祉事業を立ち上げる時に悩むのが資金面ですよね。そこで今回は、事業の立ち上げに使える、開設準備経費等補助金について解説します。この補助金は、共同生活援助(グループホーム)、短期入所事業等に活用できる補助金となります。
今回は、「東京都知的・身体障害者等グループホーム開設準備経費等補助金」を例に解説します。
※市区町村、都道府県によって要件が微妙に異なる補助金です。必ず実施主体の自治体へ確認して下さい。
https://www.shougaifukushi.metro.tokyo.lg.jp/Lib/LibDspList.php?catid=015-011
ポイント
・共同生活援助、短期入所事業において、必ず利用して欲しい補助金です
・賃料と準備費用の2種類を同時に利用出来ます
・特に準備経費の補助対象外など、注意点をよく読んで下さい
開設準備経費等補助金とは?
開設準備経費等補助金は、グループホームを新設、または増設等を行う場合に、賃料等の経費を支援してくれる補助金となります。
この補助金は、東京都知事(以下、「知事」という。)による法第36条第1項に基づきグループホームに係る指定を受けた者(新たに指定を受ける者を含み、地方公共団体を除く。)が当該グループホームに供するための共同生活住居(を新設又は増設(グループホームの定員の増加に伴う新たな共同生活住するために必要となる次の経費(以下「補助事業」という。)を交付の対象とする。
開設準備経費交付要綱
ポイント
・共同生活援助、短期入所事業において、必ず利用して欲しい補助金です
・賃料と準備費用の2種類を同時に利用出来ます
・特に準備経費の補助対象外など、注意点をよく読んで下さい
補助対象事業
開設準備経費等補助金の補助対象となる施設は以下の施設です。
以下の3点を全て満たすユニット
1 新設または増設したユニット(定員増であっても移転は対象外)
2 知的障害者又は身体障害者、難病等対象者を主たる対象とするユニット
(精神障害者は区市町村窓口で行っているため除く)
3 入居定員が4名以上のユニット
(※八王子市内のGHついては、八王子市へお問合わせください。)
開設準備経費等補助金の補助金額は?

開設準備経費等補助金の補助金額は、家賃借り上げ費56万円、また開設準備費で23万円がそれぞれ上限となっています。
①家屋借上げ費
家賃借り上げ費では、物件の借上げに伴う権利金、仲介手数料について助成を受けることができます。
補助額上限:562,500円
基準額を750,000円とし、基準額または実際にかかった経費のうち低い額に4分の3をかけた額
※基準額・・家屋の賃貸借契約時にかかる実費。ただし、1共同生活住居あたり限度額750,000円(賃貸借契約書(写)、領収書(写)を添付すること。)
補助対象経費
家屋を借上げるときに要する権利金、仲介手数料。ただし、賃貸借契約を解除される際に返還される経費を除く。
(160万円以上は入札での業者選定等の対応が必要になります。★ 権利金(礼金)、仲介手数料のみ
※敷金は対象外です。)
②開設準備経費
開設準備経費は、23万円を限度に、事業所開設にあたり、備品の購入費や職員の賃金、研修費、消耗品費などを対象に補助を受けることができます。
補助額上限:231,750円
(基準額を309,000円とし、基準額または実際にかかった経費のうち低い額に4分の3をかけた額)
補助対象経費
管理事務費…開設前の職員(事務担当職員を除く)の給与(基本給のみ、原則開設日前日までの1ヵ月分)、研修費用
初度調弁費…備品購入費、消耗品費(開設時に必要な分のみ)
・備品…家事の際に使用する電気製品や、共有スペースで利用者も使用できるもの。
(例)冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、食器等
・消耗品…家事や洗濯の際に使用するものや、共有スペースで利用者も使用できるもの。
(例)掃除用品、調理器具等
申請の流れ
開設準備経費等補助金は、申請を行い、経費の支払い、その後実績の報告を行い、補助金が交付されるといった流れになります。
交
付
申
請
→
実
績
報
告
→
請
求
→
支
出
募集締め切り
募集期限については、各自治体によって異なっています。ついては、募集期限等については、開設を希望される地域の福祉課等に確認するようにしましょう。
スケジュール
開設準備経費等補助金は、交付から申請までだいたい3か月間程度の時間を要します。また、それぞれの書類について締切日が決まっているので、送れないように注意しましょう。
交付申請書提出…開設日から約2週間
交付決定通知発出…申請書提出〆切から約5週間
実績報告提出…交付決定通知から約1週間
額の確定通知発出…報告書提出〆切から約3週間
支出…確定通知から約4週間
必要な申請書類は?

開設準備経費等補助金については、交付申請所の他に、支出計画書、印鑑証明書等の提出が必要です。また計上する費用によって、その費用に応じた書類が必要となってきます。
- 交付申請書
- 所要額調書
- 開設準備経費支出計画※1,2初度調弁費の場合(備品購入費、消耗品費等)
- 家屋借上費※3
- 予算書抄本
- 誓約書
- 支払金口座振替依頼書
- 印鑑証明書の原本(概ね3か月以内の最新のもの)
※1①内容のわかるレシート(写)、または請求書及び領収書(写)等、②税込1万円以上の品は全体及び型番のわかる写真(複数見積のうえ選定したことがわかる資料。詳しくは記入要領を御確認ください。契約額(領収書)が税込50万円未満の場合は不要です。)
※2管理事務費の場合(世話人の賃金、研修費等)雇用契約書(写)・給与明細等(写)または法人宛て領収書等、基本給及び支払額と支払ったことがわかるもの
※3賃貸借契約書、重要事項説明書等、法人宛て領収書、振込控などの写し
(礼金及び仲介手数料が請求されていること、支払っていることがわかる書類が必要です)
その他保管すべき領収書等
法人あて領収書(写)
賃貸借契約書、重要事項説明書(写)
※領収書(写)に礼金・仲介手数料の個別の金額が記されていない場合は、別途内訳書を作成してください。
管理事務費(世話人等の賃金、研修費用)
※世話人等と法人の間で交わされた雇用契約書(写)・給与明細(写)
初度調弁費(消耗品費、備品購入費)
(レシートがない場合は、購入したものと金額がわかる表を添付してください。)
※契約額で税込50万円以上となる際は三者以上の複数見積もり等、160万円以上は入札での業者選定等の対応が必要になります。
(契約額は一品ずつの価格ではなく一般には領収書等の単位となります。)
※提出いただいた書類に関して説明資料を追加で求めることがございます。
必要な書式等はこちらからダウンロードできます。
補助金が無効になる!?申請の注意点3つを解説!
開設準備経費等補助金は、仲介手数料や職員の人件費、備品の購入等に幅広く使える補助金ですが、要件からはずれると支給されなくなる、最悪返還を求められるなどのペナルティがあります。かならず注意点を守って、申請を行う様にしましょう。
1.支払い方法を守る
備品等の購入にあたり、ポイントの対象となった商品は補助の対象外です。購入するときは、ポイントカードやクレジットカードを使用しないでください。現金払いで、対象の商品のみを購入して、レシートを取っておいて下さい。
2.補助対象外の経費がある
備品等でも一部経費は補助対象外となります。例えば、利用者が居室等で個人的に利用するもの(例:各居室のカーテン・エアコン、等)や、事務用品等法人が負担するべきもの (例:事務用の文房具・鍵付き書庫・パソコン・金庫・電話、等)は、補助金の対象外。
また、他の補助金(施設整備費補助金、短期入所開設準備経費等補助金等)を利用して購入したものも、対象外となります。また、グループホーム開設日以降に購入したものも対象外となるので、覚えておきましょう。
3.実績報告の義務がある
補助金を使った事業については、実績報告の義務があります。補助事業が完了したとき、又は補助金の交付の決定にかかる会計年度が終了したときは、10 日以内に、所定の様式で報告を行う必要があります。
専門家からのアドバイス
共同生活援助(グループホーム)・短期入所事業において、家賃、冷蔵庫などの家電、職員の給与など対象が広く、最もポピュラーと言える補助金です。打ち切られる可能性もありますので、事前相談の時点でお早目にお申込み下さい。
注意点として、準備経費にはクレジットカードなどを使ってしまうと、対象外になってしまうので、お気を付けください。