【社会課題の解決に】日本政策金融公庫のソーシャルビジネス支援資金とは?

sociallend コラム

ソーシャルビジネスをするうえで、資金調達の悩みは常につきまといますよね。そんな時に使えるのが、日本政策金融公庫が提供する、ソーシャルビジネス支援資金です。そこで今回は、日本政策金融公庫が提供する、ソーシャルビジネス支援資金について、融資の申し込み方法から、申請を通すポイントを解説します。

ソーシャルビジネス支援資金とは

ソーシャルビジネス支援金は、日本政策金融公庫が実施している国民生活事業の中の一つであり、政府の成長戦略等に沿って、ソーシャルビジネス等の分野で活躍する個人・法人に向けて積極的な支援をお行っており、令和4年度は1万5千件以上、1200億円以上の融資をおこなってるなど、多くの融資実績があります。

日本政策金融公庫は、民間金融機関の業務を補完することを目的としており、民間の金融機関では難しい創業時の融資や、中小企業等への融資を積極的に行っており、無担保だったり、実績がなくても借りやすい点が特徴となっています。

ソーシャルビジネス支援金の申請条件とは

ソーシャルビジネス支援金は、特に社会課題分野における融資を支援することを目的としているため、事業内容等、一定の申請条件があります。

申請対象者

申請対象者については、NPO法人や社会課題を営む事業者である必要があります。

申請対象者

1.NPO法人 または
2.NPO法人以外であり、(1)または(2)に該当する方
(1)保育サービス事業、介護サービス事業等※1を営む方
(2)社会的課題の解決を目的とする事業※2を営む方

※1 日本標準産業分類における老人福祉・介護事業、児童福祉事業、障がい者福祉事業等を指します。
※2 日本公庫が定める一定の要件を満たす必要があります。

担保

担保については、一定の要件に該当すれば、無担保で融資を受けることも可能となっています。また、その他融資制度との併用が可能となっています。

ソーシャルビジネス支援金の概要

ご利用いただける方 次の1または2に該当する方 NPO法人 NPO法人以外であって、次の(1)または(2)に該当する方 (1)保育サービス事業、介護サービス事業等(注1)を営む方 (2)社会的課題の解決を目的とする事業(注2)を営む方
資金の使いみち 事業を行うために必要な設備資金及び運転資金
融資限度額(注3) ■担保なし 「担保を不要とする融資」をご利用する方:4,800万円 「新創業融資制度」をご利用する方:3,000万円(うち運転資金1,500万円) ■担保あり 7,200万円(うち運転資金4,800万円)
ご返済期間 設備資金 20年以内(うち据置期間2年以内) 運転資金  7年以内(うち据置期間2年以内)
利率(年)(注4) NPO法人 1.保育サービス事業、介護サービス事業等を営む方 [特別利率B]
2.認定NPO法人(特例認定NPO法人を含みます。) [特別利率A]
3.社会的課題の解決を目的とする事業を営む方 [特別利率A] (ただし、「過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法」に定める過疎地域内で事業を行うために必要な資金は[特別利率B])
4.上記1~3に該当しない方 [基準利率]
NPO法人以外 1.保育サービス事業、介護サービス事業等を営む方 [特別利率B]
2.社会的課題の解決を目的とする事業を営む方 [特別利率A] (ただし、「過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法」に定める過疎地域内で事業を行うために必要な資金は[特別利率B])
担保・保証人 お客さまのご希望を伺いながらご相談させていただきます。 ■NPO法人の特例 利率を上乗せすることで、代表者保証が不要になります(注5)。

(注1) 日本標準産業分類における老人福祉・介護事業、児童福祉事業、障がい者福祉事業等を指します。
(注2) 日本公庫が定める一定の要件を満たす必要があります。
(注3) 各種融資制度とは別枠になります。
(注4) ご返済期間、担保の有無などによって異なる利率が適用されます。最新の金利情報は、こちらをご覧ください。
(注5) 新創業融資制度を適用する方を除きます。また、NPO法人以外の方でも、一定の要件を満たす場合は、代表者保証が不要になります。利率は金融情勢によって変動いたしますので、お借入金利(固定)は、記載されている利率とは異なる場合があります


基準利率特別利率A特別利率B
担保不要の融資(税務申告を2期終えている場合)2.1~3.31.7~2.91.45~2.65
新創業融資(無担保・無保証人)2.4~3.62.0~3.21.75~2.95
担保ありの場合1.1~2.90.8~2.50.75~2.25

経営者の保証を不要とする融資の場合は、一定の条件で0.1~0.2%の上乗せあり。
国民生活事業(主要利率一覧表)

ソーシャルビジネス支援金の申請を通すポイント3選

ソーシャルビジネス支援金は、通常の融資と違い、ソーシャルビジネスに対して積極的に融資を行いたいという意図をもって行われます。そのため、通常の融資とは異なる観点で申請を行う必要があります。ここでは、融資を通すためのポイントを3つお伝えします。

1.社会課題解決に向けた取り組みをアピールする

ソーシャルビジネス支援金の申請を通すためには、社会課題解決につながる事業であることをしっかりとアピールすることが大切です。ソーシャルビジネス支援金には、国が重点的に取り組みたい介護、医療といった社会課題の解決を応援したいという意図があります。そのため、事業がどのように社会課題の解決に貢献するのかということを事業計画書に盛り込むようにしましょう。

2.事前に相談する

申請を提出する前に、事業計画書や返済計画について日本政策金融公庫に相談しましょう。融資を通すためには、まずしっかりとした事業計画書などの申請書類を用意する必要があります。事業には継続性があるのか、返済の見込みがあるのかといった点は、通常の融資と同じように審査されます。日本政策金融公庫では、書類等の作成について無料で相談にのってくれます。相談の段階で、指摘等が入らないレベルまで事業計画書等の完成度を高めることで、融資に通る確率も高くなります。

3.NPO法人を設立する

ソーシャルビジネス支援金は、NPO法人でない場合は、社会課題を解決する事業でなければ申請ができません。また、公益性を重視する融資であるため、NPO法人の方が利率も優遇されています。審査についても、NPO法人であることで心象が良くなる可能性があります。もし可能であれば、別途NPO法人を設立のうえ、融資を申し込むことも検討しましょう。

事例集

ソーシャルビジネス支援資金により、実際に融資を受けたソーシャルビジネスをご紹介します。

特定非営利活動法人さっぽろ福祉支援ネットあいなび

特定非営利活動法人さっぽろ福祉支援ネットあいなび、福祉車両購入のためにソーシャルビジネス支援金を活用しました。

同法人は、福祉移動支援事業を基盤としながら、複数の事業を展開している。その一つである地域交流支援事業では、地域住民やボランティアとともに、地域交流サロン「ふじのカフェ」・「くるみな」や多目的スペース「あらいぶ」を運営しており、障がいのある人もない人も、赤ちゃんから高齢
者まで、生まれ育った地域の中で楽しく過ごせる居場所づくりを進めている。

特定非営利活動法人 亘理いちごっこ

特定非営利活動法人亘理いちごっこでは、レストラン運営の資金について融資の提供を受けました。

同法人の中核事業である、コミュニティ・カフェレストラン「散歩道」では、地域の食材を使い、塩分3g未満、約600kcalの食事を提供している。添加物が多く、偏った食事が、日本人の体や心をむしばんでいると感じており、主婦を中心としたスタッフがヘルシーかつ低カロリーのメニューを考案した。

特定非営利活動法人ハナラボ

特定非営利活動法人ハナラボでは、受託事業のつなぎ資金にソーシャルビジネス支援金を活用しました。

女子大生の視野が広がる機会を創出しなければと考えた角代表理事は、Webデザイナーとしての専門性と、コミュニケーションデザインの知識を活かして、女子大生のための就活応援サイト「ハナジョブ」を立ち上げた。ハナジョブのコンセプトは、「覚悟を持って働きたい、女子大生のための就活サ
イト」。ハナジョブという名前には、「わたしらしく花を咲かせる」という意味を込めた。

まとめ

今回は、ソーシャルビジネスに使えるソーシャルビジネス支援金をご紹介しました。ソーシャルビジネスは、時に利用者から資金を得ることが困難であるなど、資金面で課題をかかえがちです。ぜひ本記事を参考に、資金調達を検討してみて下さい。

監修者

トキタ行政書士事務所代表 鴇田 光晴。成蹊大学卒業。重度重複の障害者入所施設、児童発達支援や放課後等デイサービスでの勤務を経て行政書士として開業。加算や開業支援等、現場での経験を活かした実践的なサポートを提供しています。

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