事業再構築補助金とは?介護・障害福祉事業の活用事例から採択のポイントを解説!

zigyou-saikoutiku コラム

事業再構築補助金と聞いたことがあるけど、どんな事業に活用できる?介護・障害福祉事業にも使えるの?そんな風に感じていませんか。事業再構築補助金の概要や条件、介護・障害福祉事業への活用法をお伝えします。

事業再構築補助金を利用して新規事業に挑戦したいという方は、ぜひ参考にしてみてください。

事業再構築補助金の概要

事業再構築補助金は、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するために中小企業等の事業再構築を支援することを目的として作られた補助金です。

そのため、補助の対象となる事業は、新分野展開、事業転換、業種転換など、既存の事業の延長ではなく新しい分野への進出等が求められます。

事業再構築補助金の対象となる事業の再構築例

  • 新分野展開
  • 事業転換
  • 業種転換
  • 業態転換
  • 事業再編

参考:「補助金活用イメージ」事業再構築補助金

また、事業再構築補助金には、[成長枠]、[卒業促進枠]といった枠があり、各枠ごとに申し込み要件がことなっている点に注意しましょう。補助金額は最大で5億円、補助率は2分の1以上となっています。最新の11回では、9207者の応募があり、2437者が採択となり、26.4%の採択率でした。

申請枠要件最大補助金額補助率締切日
最低賃金枠最低賃金引上げの影響を受け、そ
の原資の確保が困難な事業者
1500万円  3/42023年10月6日     
物価高騰対策・ 回復再生応援枠業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む事業者、原油価格・物価高騰等の影響を受ける事業者3000万円2/32023年10月6日     
産業構造転換枠国内市場縮小等の構造的な課題
に直面している業種・業態の事業者
7,000万円  2/32023年10月6日     
成長枠成長分野への大胆な事業再構築に取り組む事業者                  8,000万円2/3
グリーン成長枠
(エントリー)    
研究開発・技術開発又は人材育成を行いな
がら、グリーン成長戦略「実行計画」14分野
の課題の解決に資する取組を行う事業者
1億円2/3
グリーン成長枠
(スタンダード)     
研究開発・技術開発又は人材育成を行いな
がら、グリーン成長戦略「実行計画」14分野
の課題の解決に資する取組を行う事業者
1.5億円   2/3
2024年度についてはまだ募集はされていません。ここでは、最新の第11回2023年度の募集についての情報を掲載しています。

参考:「事業再構築補助金の概要」経済産業省

事業再構築補助金の申請要件とは?個人事業主でも申し込みできる?

事業再構築補助金は、中小企業のための補助金であり、事業再構築の支援を目的としています。そのため、大企業の申請だったり、既存事業の拡大のための申請は対象外となります。

申請を行う際は、まず自身の事業や事業規模が要件に該当するのかを確認しましょう。ここでは、全枠に共通する条件を説明します。

事業再構築補助金の必須要件

  • 中小企業であること
  • 事業計画について認定経営革新等支援機関の確認を受けること
  • 付加価値額を向上させること

中小企業の要件とは

事業再構築補助金における中小企業は、中小企業基本法と同様で、資本金が10億円未満の会社であることに加え、業種ごとの条件を満たす企業となります。また、個人事業主についても、申請の対象となります。

製造業その他: 資本金3億円以下の会社 又は 従業員数300人以下の会社及び個人
卸売業: 資本金1億円以下の会社 又は 従業員数100人以下の会社及び個人
小売業: 資本金5千万円以下の会社 又は 従業員数50人以下の会社及び個人
サービス業: 資本金5千万円以下の会社 又は 従業員数100人以下の会社及び個人

(注1)大企業の子会社等の、いわゆる「みなし大企業」は支援の対象外です。
(注2)確定している(申告済みの)直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える場合は、中小企業ではなく、中堅企業として支援の対象となります。
(注3)企業組合、協業組合、事業協同組合を含む「中小企業等経営強化法」第2条第1項が規定する「中小企業者」や、収益事業を行う一般社団法人、一般財団法人、NPO法人等も支援の対象です。

事業計画について認定経営革新等支援機関の確認を受けること

事業再構築補助金の原資は税金となるため、補助金を受け取る事業者や事業については、補助金を有効に活用し、継続性のある利用が求められます。

そのため、事業再構築指針(※1)に沿った事業計画を作成し、認定経営革新等支援機関(※2)の確認を受けることが必須要件とされています。

※1・・事業再構築指針
※2・・認定経営革新等支援機関

付加価値額を向上させること

事業再構築補助金の利用においては、付加価値額(※1)の向上が要件とされています。付加価値額は、補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0~5.0%(申請枠により異なる)以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0~5.0%(申請枠により異なる)以上増加させることが必要です。

※・・営業利益、人件費、減価償却費を足したものをいう。

事業再構築補助金のスケジュール・流れ

公募要領:事業再構築補助金

事業再構築補助金のスケジュール、および流れについて説明します。最新の募集は第11回となっており、応募については終了しています。2024年度の募集についてはまだ発表されていませんので、参考として考えておいていただければと思います。
(第11回事業再構築補助金公募期間:令和5年8月10日(木)~令和5年10月6日(金)18:00)

申請の準備(GビズIDプライムアカウントの取得)

事業再構築補助金は、電子申請でのみ申請を受け付けており、システムを利用して申請するにはGビズIDプライムアカウントが必要となります。なお、GビズIDプライムアカウント※の取得には、最短で発行まで1週間程度の時間が必要です。

2024年度の募集開始がいつかはまだわからない状況ですが、できるだけ早く取得しておくことをおすすめします。

※GビズIDプライムアカウント・・法人・個人事業主向け共通認証システム。取得することで行政サービス等へのログインが可能になる。申請はGビズID公式サイトから行えます。

➀申請

事業再構築補助金の応募が開始されたら、まず事業再構築補助金上のサイトより申請を行います。申し込みにあたり、様々な書類が必要となりますが、認定経営革新等支援機関の確認を得た事業計画書が特に時間がかかります。募集要項は先に発表されますので、出来るだけ事前に準備しておくといいでしょう。

事業再構築補助金申請のために必要な書類の例
・事業計画書
・認定経営革新等支援機関による確認書
・決算書等
・経済産業省ミラサポplus「電子申請サポート」により作成した事業財務情報
・従業員数を示す書類
・収益事業を行っていることを説明する書類

参考:「添付書類確認シート」事業再構築補助金

応募申請 | 応募される方 | 事業再構築補助金
応募申請には、補助金を受けるための条件を満たしていることや必要な書類の提出が必要です。このページでは、事業再構築補助金の応募申請の手続きについて案内をしています。

➁交付候補者の採択通知

事業再構築補助金は、採択が決定されると、GビズIDに登録したメールアドレスに通知されます。第11回については、「補助金交付候補者の採択発表:令和5年12月下旬~1月上旬頃(予定)」となっていましたが、2月13日に発表されています。第12回についても、発表は遅れるかもしれませんね。

➂交付申請

採択が決定された後は、事業再構築補助金の交付申請手続きに進みます。交付申請は、電子申請から行う必要があり、申し込みに利用したGビズプライムIDを利用し、jGrants上で行います。

交付申請については、明確な期間の明示があるわけではないですが採択決定後速やかに行うようにしましょう。

➃補助事業実施・報告

交付審査が終わったら、決定された内容に基づき、補助事業を実施します。指定された書類の提出等、よく事務局からの決定内容を確認し、滞りがないように行うようにしましょう。

補助事業が完了したら、その日から30日以内、または補助事業実施期間の終了日までに、実施報告書等の書類を提出する必要があります。

参考:事業再構築補助金「実績報告書作成マニュアル」

➄確定検査(交付額の確定)

補助事業の実施報告完了後、事務局による確定検査が行われ、交付額が確定されます。

⑥補助金の請求

交付額が確定すると、事務局より「補助金額確定通知書」が送られてきますので、「補助金額精算払い請求書」を使って補助金の請求を行います。

⑦補助金の支払い

清算払請求書に不備がなければ、受領後8営業日程度で補助金の振り込みが行われます。

事業再構築補助金に採択されるためのポイント3選

事業再構築補助金は、最大で5億円まで補助を受けることができます。採択されることができれば事業の大きな助けになるでしょう。ここでは、採択されるためにお抑えておきたいポイントを解説します。

事業の新規性をアピールする

事業再構築補助金は、既存事業ではなく新しい取り組みを補助することを目的としています。そのため、これまでの事業といかに違いがあるかを事業計画等に盛り込む必要があります。またその取り組みで付加価値をしっかりと生み出せることも伝える必要があります。

複数回の申請を活用する

事業再構築補助金一部申請類型における2回目申請

これまでの事業再構築補助金では、申し込みする枠によっては、特定の条件を満たすことで複数回の申請が可能となっています。11回補助金においては、過去に採択された場合であっても、特定の条件下で「グリーン成長枠・産業構造転換枠・サプライチェーン強靭化枠」に申し込みが可能となっています。で申し込み回数が多ければ、それだけ申請に通る可能性も高くなります。もし条件に該当する場合は、複数回の申請を活用しましょう。

事例紹介を参考にする

事業再構築補助金の申請を行う際は、事例紹介を参考にしましょう。事業再構築補助金のホームページにて、これまで採択された事業計画書が公開されています。採択された事業計画書を参考にすることで、事業計画書の完成度を高めることができます。

参照:事業再構築補助金『「事業計画書」事例紹介』

介護・障害福祉事業への活用事例

事業再構築補助金は、介護、障害福祉事業においても、活用が可能です。ここでは、介護・障害福祉事業における採択事例を紹介します。

介護保険適用外サービス「暮らしのサポート」展開

コロナによる高齢者の巣ごもりに対応するために、要支援、要介護認定適用外の高齢者を主体にした介護保険適用外サービス「暮らしのサポート」をスタートする。家事代行、外出同
行、見守りサービス事業となる。
(アイネット株式会社/福島県いわき市)

障がい児童施設向け書類作成業務効率化AIシステムの開発

障がい児の支援施設に特化した、カンファレンスの記録作成や、個別支援計画などの書類作成を自動で行うAIシステムを新たに開発し、新市場進出による当社の売上拡大と障がい児
施設が抱える課題解決への貢献を果たす。
(株式会社立未/東京都杉並区)

介護福祉分野で培った知見を活かし、飲食分野への業種転換を行う。

補助事業として新たにファミリー向けの焼肉店をオープン、サービス業(飲食事業)への業種転換(多角化)を行う。これまで福祉介護分野で培った経験を活かし、高齢者層にも楽しんでいただける商品を提供し食事を楽しんでいただく。焼肉と言えば若い方の食事という概念を覆す取り組みである。
(新興沖縄株式会社/沖縄県島尻郡八重瀬町)

参照:事業再構築補助金「採択結果」

まとめ

本記事では、事業再構築補助金の概要、申請方法やスケジュール、採択されるポイントなどについてまとめました。事業再構築補助金は、補助額も大きく、採択されることができれば事業を推進する助けになってくれます。ぜひ本記事を参考に、活用を考えてみてください。

監修者

トキタ行政書士事務所代表 鴇田 光晴。成蹊大学卒業。重度重複の障害者入所施設、児童発達支援や放課後等デイサービスでの勤務を経て行政書士として開業。加算や開業支援等、現場での経験を活かした実践的なサポートを提供しています。

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