障害者施設を開設する時に、補助金などを活用したいと考える方は多いと思います。そこで、本日は障害者施設の開業について補助金を受けられる障害者(児)施設整備費補助事業について解説します。
障害者(児)施設整備費補助事業とは
障害者(児)施設整備費補助事業は、昭和60年に心身障害者通所施設緊急整備費補助という事業名で、当時の養護学校(現在の特別支援学校)の卒後対策の一環として、主に小規模作業所(現在の就労継続支援B型等日中活動の場の呼称)の整備費に対する補助という事業から始まりました。
社会福祉施設等施設整備費国庫補助金を活用し、障害者施設の新設や既存物件の改修等に対して、補助金を受けることができます。補助額は、最大5億円と金額は大きいですが、協議の難易度が高く、提出する事業計画書も作りこみが必要な補助金です。また、実施年度によって提出書類や要件が変わりますので、必ず実施主体の自治体へ確認して下さい。
対象となる福祉事業
対象となる福祉事業については、訪問系、相談系、短期入所系、就労移行支援、継続支援A、継続支援B、就労定着支援、生活介護、自立訓練、児童系サービスなど、多様なサービスが対象となります。
※各自治体によっても、対象サービスは異なるので、詳細は自治体に必ずお問い合わせください。
申請可能な事業者
申請可能な事業者は、社会福祉法人、一般社団法人、NPO、など法人格をもった団体となります。また対象施設によっては、株式会社等の法人は申請ができない場合があるため、施設ごとに確認することが必要です。
申請から交付までの流れ
まず補助金を利用したい場合は、事前に調整、相談を行います。その後、事業計画書の提出、協議を得て、審査会からの内示、入札、申請をへて交付が決定されます。申請から交付まではおおむね1年程度時間がかかる可能性があります。
補助金の対象となる経費
補助金の対象となる経費は、施設によってことなりますが、以下が主な対象経費となります。
- 施設整備費(新築、改築等)
- 借地料の一部(賃借開始から5年)
- 消防設備設置費用
- 防犯設備設置費用
- 開設準備諸費用(物件借上げの権利金、仲介手数料、開設のために支払った賃金、研修費等)
申請のために必要な書類
採択にあたり、多くの書類を必要としています。以下に例をあげますがこの他にも非常に多くの書類の提出が必要です。協議の前段階でも、決算書や工事見積書など多くの提出書類を必要とするので、慣れていない人には難しいでしょう。
事業計画書、登記事項説明書(土地・建物)、売買・寄付・賃貸借契約(確約)書(土地・建物)、既存建物の検査済証、既存建物の検査済証、地域住民に対する説明状況等、区市町村の意見書、工事仕様書(建築概要書、内部仕上表、外部仕上表、特記仕様書)、工事種別等内訳書、資金計画、残高証明書、備品一覧表、関係機関一覧表
補助金申請の注意点
補助金申請にあたり、幾つか注意点があるのであげておきます。
- 過去3年間の決算状況が、営業活動に基づく赤字である場合は、原則認められない。
- 賃貸借契約の当事者が利益相反関係とみなされる場合は補助対象外
- 財産処分の際に、補助金の返還が生じます。
- 補助協議前の抵当権設定は、原則、不可
- 補助内示後に、土地所有者と契約を締結
- 土地の買収及び整地に要する費用等、補助対象外の経費がある
過去3年の決算状況が赤字だったり、抵当権の設定があると、補助協議が行えないなど、様々な縛りがあります。補助金の申請にあたり、必ず事前に相談を行い、申請対象の要件等を自身の状況にあわせて確認しておくことをお勧めします。
申請を通すためのポイントを専門家視点で解説
本補助金は、交付までが約1年であり、申請書類も多く、補助金採択の難易度は非常に高くなっています。また採択されているのはほとんどが社会福祉法人となっており、補助金採択のために専門の人間が動けるなどの環境がなければ採択は難しいと思われます。
過去の採択事例が公示されているため、過去の採択事例を参考に、申請を行うことで申請確率を上げることが出来るでしょう。
社会福祉法人以外が採択されることは稀であり、事前相談の段階から、自治体との相談と書類作成を円滑に進める必要があります。期日に間に合うように、余裕を持って書類作成等を進めましょう。
補助金概要
補助金名 | 障害者(児)施設整備費補助事業 |
補助基準額(補助基準単価の合計) | 最大5億円 |
補助率 | 都補助金 3/4 (本則)(うち国庫補助金 2/3) |
補助対象事業 | 創設、改築 、老朽民間社会福祉施設整備、増築、大規模修繕 |
障害福祉サービス事業所 | 療養介護、生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援、障害者支援施設、障害児入所施設 、児童発達支援センター、児童発達支援事業所 、放課後等デイサービス、身体障害者社会参加支援施設、居宅介護等 居宅介護、重度訪問介護、同行援護、相談支援事業所、保育所等訪問支援事業所、障害児相談支援事業所 |
申請概要 | https://www.shougaifukushi.metro.tokyo.lg.jp/Lib/LibDspList.php?catid=095-011 |
本補助金は、申請にあたり非常に複雑な手続きをこなしていく必要がありますが、受けることが出来れば最大5億円大変大きな補助を受けることが可能です。トキタ行政書士事務所では、補助金や資金調達の相談にのっております。補助金を検討されている方はぜひご相談ください。