障害者雇用をしたいと考えている事業者の方におすすめしたいのが、補助金の活用です。しかし、どんな補助金がつかえるのかわからないという方も多いのではないでしょうか。
今回は、障害者を雇用することで補助金が貰える特定求職者雇用開発助成金について解説します。
特定求職者雇用開発助成金について
特定求職者雇用開発助成金とは、高齢者や障害者、就職氷河期世代、高齢者等の就職困難者をハローワーク等の紹介により、労働者を雇用する事業主に対して支給される助成金で、最大で240万円程度の助成を受けることができます。
高年齢者、障害者、母子家庭の母などの就職困難者を、ハローワークや民間の職業紹介事業
厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)のご案内」
者などの職業紹介により、継続して雇用する労働者として雇い入れる事業主に対して、助成
金を支給します。
特定求職者雇用開発助成金には、現在5つのコースがあり、それぞれによって対象者等が違います。
- 特定就職困難者コース・・高齢者や障害者等の就職困難者の雇用
- 発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース・・発達障害者や難病患者の雇用
- 就職氷河期世代安定雇用実現コース・・正規雇用の機会を逃したこと等により、十分なキャリア形成がなされず、正規雇用に就くことが困難な方を雇用
- 生活保護受給者等雇用開発コース・・通算して3ヶ月を超えて支援を受けている生活保護受給者や生活困窮者の雇用
- 成長分野等人材確保・育成コース・・高年齢者や障害者等の就職困難者を「成長分野の業務」に従事等
特定求職者雇用開発助成金の支給要件
特定求職者雇用開発助成金を受給するには、所定の要件を満たす必要があります。ここでは、各コースに共通する要件について解説します。
事業主の条件
事業主については、雇用保険適用事業である等の条件が必要となります。
- 雇用保険適用事業所の事業主であること(雇用保険被保険者が存在する事業所の事業主であること)
- 支給のための審査に協力すること
- 管轄労働局等の実地調査を受け入れること
等
雇い入れに関わる条件
雇い入れに関わる条件については、ハローワークまたは民間の職業紹介事業所等を介して雇い入れる、また一定期間継続して雇用することが必要となってきます。直接事業者に応募された場合は、対象とならない点に注意しましょう。
- 雇用保険一般被保険者又は高年齢被保険者として雇い入れ、継続して雇用すること(※2)が確実であると認められること。
- ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等(※1)の紹介により雇い入れること
※1公共職業安定所(ハローワーク)、地方運輸局(船員として雇い入れる場合)、適正な運用を期すことのできる有料・無料職業紹介事業者等が該当
※対象労働者の年齢が65歳以上に達するまで継続して雇用し、かつ、当該雇用期間が継続して2年以上であることをいいます。
中小企業の範囲について
助成金は、中小企業かどうかでも支給金額が異なる場合があります。中小企業の定義にてついては以下の通りです。
産業分類 | 資本金の額・出資の総額 | 常時雇用する労働者の数 |
小売業(飲食店を含む) | 5,000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
申請手続きの流れ
続いて、申請手続きの流れについて説明します。
①ハローワーク等からの紹介
特定求職者雇用開発助成金は、ハローワーク、地方運輸局、適正な運用を期することのできる特定地方公共団体、有料・無料職業紹介事業者または無料船員職業紹介事業者の紹介で雇い入れた場合のみ、助成金の対象となります。
そのため、まずは対象の紹介事業者から紹介を受けることが必要です。
②対象者の雇入れ
紹介を受けたら、対象者の雇い入れを行いましょう。なお、雇い入れについては、各コースに合わせた要件での雇い入れ(正規雇用、無期雇用、有期雇用等)が必要となります。各コースによって対象となる雇用形態がことなりますので、必ず確認しておきましょう。
③助成金の支給申請
雇用契約を締結し、所定の期間の雇用契約を継続したら、必要書類を提出し、助成金の申請を行います。なお、助成金については支給対象時期が複数ある場合、都度申請する必要があります。
特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)の場合の必要書類
- 支給申請書(様式第3号)
- 賃金台帳等
- 出勤簿等
- 対象者であることを証明するための書類
- 雇用契約書又は雇入れ通知書
- 対象労働者雇用状況等申立書(様式第5号)
- 支給要件確認申立書(共通要領様式第1号)
必要書類は各コースごとにことなるので確認しましょう。
④支給申請書の内容調査・確認
ハローワークにて、支給申請書の調査、確認が行われます。不備等が発見され対応を求められた場合は、速やかに対応しましょう。
⑤支給・不支給決定
支給、不支給について、申請書の記載事項などをもとに審査します。適正と認められる場合、助成金が支給されます。審査には一定の期間を要します。審査結果は申請した事業主に通知書を送付して告知します。
⑥助成金の支給
決定後、指定した金融機関口座に給付金が振り込まれます。
特定求職者雇用開発助成金申し込みの注意点
特定求職者雇用開発助成金は、厚生労働省が取り扱う助成金となり、条件は厳しく規定されています。ここでは、特定求職者雇用開発助成金を申し込みする場合の注意点についてお伝えします。
直接募集は対象外
特定求職者雇用開発助成金は、直接募集は対象外となります。助成金を受け取る場合は、ハローワーク、または特定地方公共団体、職業紹介事業者等の紹介を受ける必要があります。また、直接募集があった応募者を形式的にハローワーク等を経由させることも禁止されています。
助成金の重複は対象外となる場合がある
助成金は、単独で受けることが必要で、他の助成金と重複していると対象外となる場合があります。どういった助成金が対象かについては個別に判断が必要となるため、特に雇用について助成金を他でうけとっているという場合は、一度ハローワーク等に確認してみるといいでしょう。
1日でも過ぎると支給されない
特定求職者雇用開発助成金は、期限を1日でも過ぎると支給されません。申請期限は、各支給対象期の末日から二か月以内です。申請は余裕をもって、できるだけ早く行うようにしましょう。
まとめ
今回は、特定求職者雇用開発助成金について説明しました。特定求職者雇用開発助成金は、様々なコースがあり、障害者に限らず、氷河期世代や生活保護受給者、高齢者等にも活用できます。今後、ますます人材不足が進むと予想される労働市場において、ハンディキャップがある方々を有効に活用したいという企業は、こういった補助金を積極的に活用するようにしましょう。